"Remixed & Unplugged in A Minor"(2003) / Alicia Keys

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Alicia Keys の1stアルバム1と前後して出された初期のシングルの数々は、彼女の音楽を知る上で、とても重要だと思うのです。 どれも凝ったリミックス曲が収録されていていて、しかも、単に流行のトラックメイカーに丸投げするのではなく、彼女自身と Kerry ‘Krucial’ Brothers によるリ・アレンジ/リ・プロダクションと言って良い位の、ビート/アレンジの作り込みだったのですから。

少々保守的だったアルバムでは、発揮出来なかった彼女の音楽的素養の高さを確認するには、シングルのリミックスを聞くのが一番なのですが、この編集盤で気軽に聴けるのですから、ありがたいことです。 そして、前々から話題だったライヴ・パフォーマンスの公式音源もついてきたのですから、ファンにとっては、正に「盆と正月が」2状態だったのです。

まず、前半の"Remixed"の方、リズムを差し替え、元々シンプルだったサウンドを、更にスカスカにして、ヒップ・ホップらしさと、肉声を強調した #1.‘Girlfriend(Krucial Keys Sista Girl mix)’ は、ホンの序の口。

Rampage - ‘Wild for Da Night’3 を下敷きに、原曲でラップしていた Busta Rhymes / Rampage を客演に迎え、三連リズムのバラードを、大胆にヒップ・ホップ・オリエンテッドなトラックに書き換えた #3.‘Fallin’(remix)’ 、ラテン/タンゴを導入して、一層情熱的に仕上げた #4.‘A Woman’s Worth(remix)’4 、映画"Ali"サントラに収められ、他の'60s/‘70s曲と並べても遜色無い様に、アナログ風味かつドラマティックに仕上げられた #8.‘Fallin’(Ali Version)’ は、当然最高な出来でしょう。

でも、その他、へヴィなベースがうなるハウストラック #5.‘Butterflyz(Roger’s Release Mix)’ / #6.‘Troubles(J-Jay&Chris Lum Bootleg Mix)’ や、当時押しも押されぬポップ職人だった Irv Gotti や Neptunes が手掛けた #2.‘Gangsta Lovin’(w/ Eve)’ / #7.‘How Come You Don’t Call Me(Neptunes Remix)’ ですら、彼女の「うたぢから」は薄らぐことなく、今聴いても、凛と響き渡るのですから、この頃の彼女のミュージシャンシップは物凄い高みにあったと言えるのではないのでしょうか。

後半の"Unplugged"は、彼女のピアノ弾き語り一本勝負、と言った趣で、1st収録曲を中心に、短く印象的なフレーズを歌い繋いで行く、観客はその一挙一動を固唾を呑んで聴き入り、時々抑えきれず大歓声を上げる、と言う感じ。 彼女の歌は、まだまだ青く硬さも残る節回しですが、この頃のR&Bシンガーの誰とも似ていない、真摯な歌心は、後の2ndに通じる感じです。

最後は Donny Hatahway - ‘Someday We’ll All Be Free’5 のカヴァーに、 Michael Jackson - ‘Lady in My Life’6 を挟み込んで、肉声とピアノによる至福の6分24秒。 元々海外盤の特典ディスクだったこの盤を、単独で出してくれた、日本のレーベルの英断に大感謝と言うものでしょう。

彼女の、1stアルバムでは見せてくれなかった、ミュージシャンシップが剥き出しになったシングル集。 単なるオマケではない音源の数々、聴き逃しは出来ないでしょう。7


  1. “Songs in A Minor”(2001) / Alicia Keys ↩︎

  2. ちょっと喩えが古いかもですが、それ位良い内容だったのです。 ↩︎

  3. Rampage The Last Boy Scout - Wild For The Night feat. Busta Rhymes ↩︎

  4. 彼女が賞を総なめにした2002年のグラミー賞で、この曲にあわせて Joaquin Cortes とタンゴを踊ったのです。 ↩︎

  5. Donny Hathaway - Someday We’ll All Be Free ↩︎

  6. Michael Jackson - The Lady in My Life ↩︎

  7. 2007/07/02 に書いた文章に加筆訂正しました ↩︎