(所謂)「ネイティヴ・タン」1の末っ子的な位置付けでデビューしたATCQが、1st2で展開していた、カラフルでファニーでラヴリー(?)、な音作りをスッパリ切り捨てて、タフなビートと、太いベースを武器に、東海岸Hip-Hopの王道路線を確立した、‘91年作。3
自分は、ATCQを初めて知ったのが、このアルバムなので4、色々印象深いんですよね…。 当時日本では、UK発の(所謂)「アシッド・ジャズ」「ジャズ・ラップ」が流行っていて、ATCQも同じ括りで紹介されていたのですが。 そんな極東の事情とは無関係に、ATCQは、持ち前の知的なユーモアと、シリアスさと、Hip-Hopへの愛を全開にして、歴史に残る名盤を次々生み出していく、その第一歩が、このアルバムなのです。
今になって聞き返すと、‘90年代初期のNY Hip-Hopの作品に共通する「ループの快感」「ラッパーのマイク回しのタイトさ」満載なのです。 彼らの代名詞とも言える、11. ‘Jazz (We’ve Got)’ 、Diamond D./Brand Nubianをゲストに迎えた #6.‘Show Business’ 、Leaders of The New Schoolと集団掛け合いを展開する #14.‘Scenario’ 等々、もしかしたら、このアルバムが出発点にして、その完成型かも…、とすら思いますよ。5
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“People’s Instinctive Travels and the Paths of Rhythm”(1990) / A Tribe Called Quest ↩︎
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と言っても知ったのは発売から2年後なんです。 当時のヒップ・ホップのアルバムは、リアルタイムで国内盤が出ることが難しかったのです。 ↩︎
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2007/04/10 に書いた文章に加筆訂正しました。 ↩︎