誰がつけたか珍邦題「暗闇の御尋ね者」。 ‘93年発表の彼らの3rdアルバム。1 元々ATCQは「意表を突くネタ使い」が持ち味だったのですが、前作2から、「シンプルでタイトなビートに太いベース」「3人の異なる声質、フロウが織り成すバラエティに富み、かつスキルもかっちりしたラップ」も身に付け、揺ぎ無い地位を確立する、その最終段階がこの盤なのです。
今聴き返しても、どの曲もビートがしっかりしてる上に、ラップもパリっと歯切れ良いし、上モノもスムースかつ練られていて、言葉の意味が判らなくても音だけで楽しめます。 2ndのシリアスさとシンプルさを、踏まえた上で、1st3のカラフルさとポップさを、多少取り戻した感じ、と言うか。 とは言え、この「ビートのループが生み出す快楽」「ラップを邪魔しない上モノの妙」のマッチングは完璧過ぎ。 このトラックのための手間を考えたら気が遠くなりますわ。
どの曲も印象深いフックをがあって、Hip-Hopの洗練の極み、と言う感じがします。 特に、Q-Tip の声って、それだけで充分特徴的だし。 全体に洗練されていて、お洒落な曲調が多いけど、 Busta Rhymes の声をカットしてフックに使った #10.‘Oh My God’ のようにノリの良い曲もカッコいいですね。4
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“People’s Instinctive Travels and the Paths of Rhythm”(1990) / A Tribe Called Quest ↩︎
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2000/07/10 と 2007/04/11 に書いた文章に加筆訂正しました。 ↩︎