"Discovery"(2001) / Daft Punk

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彼らの、代表作とも呼べる、2001年作。1

やはり、前年、2000年に出た #1.‘One More Time’2 が名曲なのです。「踊って、祝福しよう、もう一度」と繰り返し歌われる、この曲は、21世紀の幕開けに相応しいアンセムだと、今になって振り返れば分かります。 これは作詞と歌唱を担当した Romanthony3 による、新たな ‘1999’4 だと思うのです。

洗練されたハウス流儀の緻密なリズム構築の一方で、オートチューンで多少誤魔化していますが、すぐ分かる素人臭い歌、DJとしては有名だけれども、詩作に関してはズブの素人である Romanthony / DJ Sneak / Todd Edwards に作詞や歌を担当させてみたり、有名曲をざっくりサンプル/引用する、と言う確信犯的なアマチュアさがモロに出てしまっています。 しかし、それは聴く者/踊る者を楽しませるための、徹底したプロ意識、と言う多重構造の上なのです。

‘70年代のディスコ/AOR期の楽曲をベースにしていますが、それはあくまで素材としてクールに切り刻まれている、しかし12インチベースの、当時、数々生み出された(所謂)「フィルター・ディスコ」とは異なり、あくまでホームリスニングにも耐えられる楽曲の良さを優先させる、と言うギリギリの見切り。 この冷静さ、聡明さは、他のクラブ系製作者と比べて、頭一つ抜きん出ている所でしょう。

メロディアスなディスコ #3.‘Digital Love’ や、AOR風のミディアム・テンポな #8.‘Something About Us’ と言うヒット曲を生んだ盤。 #2.‘Aerodynamic’ をSlum Village(Jay-Dee aka J. Dilla)が、 #4.‘Harder, Better, Faster, Stronger’ をThe Neptunesがリミックスを手掛け、各々がその後の活動にフィードバックさせた事も併せて考えると、後々のR&B/Hip-Hopのトレンドの、トランシーなシンセ/オートチューンをかけた歌、の出発点として聴くのも可能じゃないでしょうか。5

Daft Punk - Something About Us


  1. Discovery (Daft Punk album) - Wikipedia ↩︎

  2. Daft Punk - One more time ↩︎

  3. 熱心なPrince信奉者と知られています ↩︎

  4. Prince - 1999 ↩︎

  5. 2008/08/20 に書いた文章に加筆訂正しました ↩︎