Eric Sermon(E)とParrish Smith(P)の壮大な計画(Making Dollars)の第一歩となる、‘88年作。1
Fresh/Sleeping Bag Records と言う弱小インディ・レーベルからのリリースと言うだけあって、超低予算のレコーディングだったのは間違いなく、ラップの録音とか音質が一定してないんですが、それがどうしたと言う、ラフでタフなファンキーな楽曲ばかりな、まさに「処女作にはその作家のすべてがある」な一枚です。
この頃から、Eのビート選びのセンスは冴えていて、当時のエレクトロや、JBとかその周辺の前のめりのノリではない、P-Funk/Zapp、その他定番ファンクの、ちょっとモタったファンキーなビートをネタに使ってたんですね。 そういったビートを丸々使った、カラオケに 2、DJ K La Boss の(少々)強引なスクラッチ・プレイ 3、これこそ、「オールド・スクール」と「ミドル・スクール」の橋渡し的な存在なんでしょうね。 この強引な遠投具合は、その後の西海岸ラップ/G-Funk/’90s R&B/南部ヒップホップまで届くことになります。
‘88年というヒップホップの歴史的転換点に生まれた一枚。 歴史的ドキュメントと言うだけでない、後々の礎になる一枚。 まさに必聴の一枚でしょう。
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当時のサンプリングマシーンには、そこまで長いフレーズをクリアに再生させることができなかったので、レコードのインストバージョンや、テープコラージュだったと思われます。 ↩︎
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#9.‘D.J. K La Boss’ https://youtu.be/d-rwdfD0hME のスリリングなスクラッチ・プレイ、これが今でも聴けるのは素晴らしいですね。 ↩︎