Eric Sermon(E)とParrish Smith(P)の計画(Making Dollars)は、まだまだ止まらないぜ!!とも言える、2ndアルバム、‘89年作。1
Eの意表を突いたネタ使いは、1st2よりずっと自由になり MFSB ‘Love is the Messgae’ を使ったハウス/ガラージ風味の #6.‘It’s Time 2 Party’ や、 Derek & the Dominos ‘Layla’ を弾き直しで再現した #11.‘You Had Too Much to Drink’ 、David Bowie ‘Fame’ の声ネタカット #12.‘It Wasn’t Me, It Was the Fame’ 辺りは、‘80s末期のヒップ・ホップの異分子として、違和感があるかもしれませんが、まだまだスタイルも方法論も未分化だった頃の、自由な空気のドキュメントとして有効でしょう。
上記の曲は、変化球ですが、この頃には既に「Eが作る独特のファンク・サウンド」の様式は確立されていて、JBの曲でも、重く腰の座った ‘The Payback’ 使いの 8.‘The Big Payback’ 、後々 2Pac ‘California Love’ のヒントになった、#10.‘Knick Knack Patty Wack’ 辺りの音作りは、後々の「EPMDの王道」とも言えるものです。
また、1stに引き続き #3.‘Get the Bozack’ や #4.‘Jane II’ を始め、 DJ Scratch のスクラッチ/トリックプレイを模したトラックが随所に入っていて、これが「ヒップ・ホップらしさ」の強化に貢献していますね。
とは言え、Fresh/Sleeping Bag Records と言う弱小インディ、ギャラ/印税の取り分で揉めて、この後 DefJam に移籍してしまうのです。 ここら辺のありがちな世知辛さも含めて「‘80s末期のヒップ・ホップらしさ」なのでしょうか。