"Funkadelic"(1970) / Funkadelic

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P-Funk総帥、George Clintonの脳内にある「ファンク」と「サイケデリック」の合成語であるバンド名を掲げ、混沌と混迷の世界への第一歩となる、デビュー・アルバム、1970年作。1

Sly & the Family Stone、The Temptations、Isaac Hayes、Jimi Hendrix、MC52、Led Zeppelin3からの影響が強く、良く言えば実験精神の発露、悪く言えばダラダラとしまりの無い長尺演奏、なのですが、この盤にしかない魅力があるのも事実です。

タイトかつパワフルかつ雑なリズム隊、わざわざずらしたであろうコーラス隊、耳にねっとり粘りつくような歌唱、うなりを上げるオルガン、Eddie Hazelの切れ味良いリフを中心にした楽曲ばかりで、整理されていない分、同時代に出されたソウル・ミュージックのどれにも似てないのです。 強いて言えば、スロー・ブルーズ #6.‘Qualify and Satisfy’ を聴けば、当時のChessが出したブルーズマンの極端な電化作品、 “Electric Mud” / Muddy Waters4 や “The Howlin’ Wolf Album” / Howlin’ Wolf5 にある、ヒリヒリとささくれ立った空気感を共有しているとも言えますね。6

Funkadelicの重要作は、他にもいっぱいあるので、最初にこれから聴き始めるのは推奨しませんが、最初の第一歩にして、後々の全てがある、とも言える、この1stアルバム。 P-Funkを正しく知るには、必聴とも言える作品です。


  1. Funkadelic (album) - Wikipedia ↩︎

  2. デトロイトでよく対バンで一緒だったらしい ↩︎

  3. #1.‘Mommy, What’s a Funkadelic?’のリフには、前年(1969年)に出たLed Zeppelinの’Whole Lotta Love’の影響があるでしょう。 ↩︎

  4. “Electric Mud” / Muddy Waters ↩︎

  5. “The Howlin’ Wolf Album” / Howlin’ Wolf ↩︎

  6. UKのAce Recordsから2005年に出された再発盤に大量に追加されたシングル曲を聴くと、(所謂)「まっとうな」ソウル・ミュージックが何曲もあるので、アルバムを作る際に、George Clintonが、プロデュース作業で意図的に作り出したものなのでしょう。 ↩︎