その、蛇行しまくるFunkadelicの足跡の中でも、もっともまとまりが無い、彼ら初の二枚組、1972年作。 1
JB’sを脱退したBootsy Collinsが加入するのと前後して、バンドの音楽的支柱であったEddie Hazelが一時脱退状態になり、演奏もイマイチ、って、全然良くないアルバムのように聞こえますが、いえいえ、なかなか聴き所多いアルバムなんですよ。
George Clintonがバンドを組むにあたって、お手本にしたであろう、Sly & The Family Stone、JB、地元デトロイトのMotown勢、ゴスペル、ドゥー・ワップ辺りの音楽性が、割と消化不良気味に放り込まれていて、その後のアルバムでは聴かれない要素が、沢山出てきます。 そこら辺の未消化っぷりからは、彼らが、いかにあの独特過ぎる音作りを確立するに至ったか、の、途中経過が露になります。 とは言え、全く整理もされてない楽曲が二枚組、って言うのは、聴く方も中々難儀なものなのです…。
軽快なジャズ・ファンクから、突如ラウンジーな展開を経て、教会仕込みの2ビートに展開する #1.‘You Hit The Nail On The Head’ や、脱臼スワンプ・カントリー(?) #10.‘Biological Speculation’ 辺りの、とぼけた感覚はSly Stoneそのままだし、Bootsyが歌うJB流儀のファンキー・チューン #7.‘Philmore’ 、Tempsそのまんまなノーザン #11.‘That Was My Girl’ 辺りの楽曲は、まぁ、普通に良いんですよね。
この記事書くためにWikipediaで調べていて、弦アレンジを手掛けていたのはDavid Van De Pitte2だったことを知りましたよ。 今となっては、 #3.“Everybody Is Going Go Make It This Time” / #5.‘We Hurt Too’ / #9.‘America Eats Its Young’ で流れる、無骨さと優しさを両立させた、美しい弦楽オーケストレーションは、同郷デトロイトの職人アレンジャーならではの味、って、納得なんですけどね。3
-
前年、1971年に “What’s Going On” / Marvin Gaye を手掛けている。 ↩︎
-
2009/04/04に書いた文章に加筆訂正しました。 ↩︎