前作から、1ヶ月で出された、9枚目のアルバム。1
メジャー資本であるWarner Bros.に移籍しても、全く揺るぎない、「王道の Funkadelic の音楽」…と言うか、George Clinton は移籍後を狙って、すぐアルバム出せるように、音源を録り溜めしていたのでしょうね。
Osmosis Phase One2 と銘打たれた(アナログ盤で言うところの)A面は、早めのテンポで疾走するドラムのハイハットに載せて、軽目のコーラスワークが先導しつつ、後半はMichael ‘Kidd Funkadelic’ Humptonが、ファズ・ギターを弾きまくる #1.‘Comin’ Round the Mountain’ でしっかり掴み、Garry Shiderの脱力ヘロヘロなヴォーカルとParliamentの歌唱部隊のザワザワした絡みが、ねっとりしたグルーヴを作り出しているミディアムテンポのファンク #2.‘Smokey’ 、 Bootsy Collins のスペース・ベースが切れ味よいノリを出しつつ、 George Clinton が独特の歌唱で絶叫しつつ引っ張る #3.‘If You Got Funk, You Got Style’ と絶好調で飛ばします。
A面ラストの表題作、#4.‘Hardcore Jollies’ は、 Eddie Hazelが速いテンポの8ビートに合わせて、ヒリヒリとささくれ立ちながら硬いノリでギターを弾き倒す曲。 #1の Michael Humpton と比べると、そのノリの違いが分かって面白いですね。
Terribitus Phase Two と銘打たれたB面は、軽めのノーザン風ナンバー #5.‘Soul Mate’ の次が、このアルバムのクライマックス、 #6.‘Cosmic Slop (Live)’ 。
この頃の Funkadelic/Parliament は、連日スケールの大きいコンサートで観客を熱狂の渦に叩き込んでいたのですが、それが初めてレコードに刻まれた意義は大きいですよね。3
演奏も、重たいベース/ドラムに支えられ、 Garry Shider の脱力しつつも、繰り返しつつ高みに持っていく、ゴスペル感覚の歌、Garry Shider / Glenn Goins / Michael Humpton の3人のギタリストがお互いに煽り合って、天にも登っていくかのような、スタジオ録音4とは桁違いの熱量を放っている高揚感、もう最高でしょう。
P-Funk 屈指の喉ぢからを持つ、 Glenn Goins の教会流儀の歌唱が炸裂するゴスペルバラード #7.‘You Scared the Lovin’ Outta Me’ で、再度クライマックスを迎えた後、ラストは、P-Funkならではのメロウ感覚(???)で包まれた、インスト・フュージョン #8.‘Adolescent Funk’ で優しく幕を閉じます。
この頃、1975-77年の George Clinton/P-Funk は、バンド、アルバム、と言う括りすら溶けて、全て一体になったかのような存在で、どれ一つ聴き逃しは厳禁、と言えるでしょう。
-
このハッタリとも呼べる造語感覚も George Clinton/P-Funk の持ち味ですね。 ↩︎
-
同時期のライブを収めた “P-Funk Earth Tour” が出るのは、この翌年、1977年です。 ↩︎