"One Nation Under a Groove"(1978) / Funkadelic

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圧倒的なファンクアンセムである表題曲#1を含む、彼ら随一のヒット、1978年作。1

前作2から引き続き、絶好調だった筈の彼らが、2年ものブランクを空けてしまったのには、まぁ、色々な理由があります。

オリジナル Parliament の Fuzzy Haskins / Calvin Simon / Grady Thomas の3人が脱退。 バンドのオリジナルメンバー Eddie Hazel も完全に脱退。 歌とギターでバンドを支えた Glenn Goins も薬物過剰摂取で死去、と、大きく揺れ動いていたのです。

とは言え、前作との間には、 Parliament が “Live: P-Funk Earth Tour” を含むアルバム3枚を、 Bootsy’s Rubber Band は 2nd / 3rd を、 Bernie Worrell / The Brides of Funkenstein / Parlet / Fred Wesley & The Horny Horns らがデビュー、と、とにかく軍団が膨れ上がり、全てがハイ・クオリティなファンクのグルーヴで構築されていた軌跡の時期、と言えるでしょう。

このアルバムは、加入して間もない Walter ‘Junie’ Morrison が作曲/アレンジと鍵盤で大活躍、元からの P-Funk の演奏の要である Garry Shider と上手く噛み合うことで、バンド史上最もタイトな演奏と言えるのでないでしょうか。

表題曲 #1.‘One Nation Under a Groove’ は彼らのマニフェストとも呼べる曲なのですが、以前の「アンチ・ディスコ」だった P-Funk が、敢えてシンプルな四つ打ち8ビートのドラム、バックビートのハンドクラップを取り入れ、ディスコっぽさを纏いつつも、ラテン・パーカッションや、ブラジルのクイーカ、サンバ・ホイッスル、西アフリカのトーキング・ドラムでポリリズム感を強めていたり、ギターもアルペジオ中心のリフ、バンジョーが断片的に鳴っていたり、と、今聴いても同時代のディスコやファンクに似ていない、ユニークなものです。

表題歌に並んで、彼らの姿勢をタイトルで明確に打ち出した #3.‘Who Says a Funk Band Can’t Play Rock?!’ は Michael Hampton のファズギターが唸りを上げる、シンプルな8ビートのファンク・ロック曲。

ただ、明快な曲は、上記2曲位で、残りの楽曲は、どこか捻れて捩れて、熱くなりきらず、クールとも言えない、不思議な道化のようなおかしみと、冷めた質感が楽曲に漂います。 この感覚は、多分、変態じみた実験野郎 Junie Morrison の感覚が、滲むように表出しているからなのでしょう。 Funkadelic ファンの中でも、初期の毒々しいサイケ感覚が好きな人の中には、このアルバムがあまり好きでない人も(結構)いるようです。

ミディアム・スローのカリビアン風味のリズム+童謡風味のメロディ+Temps風味のヴォーカル・リレー、と言った趣の #2.‘Groovallegiance’ 、美しいファルセットの咽び泣くメロウなバラードに乗せて、 George Clinton が声高にアジテーションを延々繰り広げ、メンバーが呼応する #4.‘Promentalshitbackwashpsychosis Enema Squad (The Doo-Doo Chasers)’ 、チープなリズムボックスに乗せて、隙間の多いスカスカなファンクに、 Raymond ‘Stingray’ Davis のバリトン・ヴォーカルが朗々と響き渡り、泣きのギターが絡む #5.‘Into You’ 、Bootsy Collins のベースがリズムを引っ張る、比較的軽いノリの #6.‘Cholly (Funk Getting Ready To Roll!)’ は、同時代のどのファンクバンドのどの曲にも似ていない、個性と実験精神とミュージシャンシップの高度な融合、踊れないかもしれないけど、…と言えるでしょう。

このアルバム、LP1枚と同じ値段なのに、おまけEPが入っていて、多分、 George Clinton は、2枚組にして見開きジャケにしたかったからでないでしょうか? Pedro Bell の、サインペンで描かれる曼荼羅、これこそ「ファンクが描く宇宙」「グルーヴの下に世界は一つ」を視覚で伝えるための武器だったのでしょう。 そしてそれには、ここまでのサービス精神が必要だったのです。

なのですが、そのEPに入っている #7.‘Maggot Brain/Chant (Think It Ain’t Illegal Yet!) (Live)’#8.‘Lunchmeataphobia (Think! It Ain’t Illegal Yet!)’#9.‘P.E. Squad / DooDoo Chasers (“Going All-The-Way-Off” Instrumental Version)’ は、旧来の Funkadelic らしい、ファズ・ギターが大轟音で唸り、ねっとりした極彩色の音像で作られた、サイケデリックなインスト中心の楽曲。 これらも、彼ららしい悪意と諧謔、なのでしょうね。

長々書きましたが、 George Clinton / P-Funk が辿り着いた一つの頂点。3 未だに発見も学ぶところも多い、名盤中の名盤です。