どんな物語にも、終わりはあります。
…で終らせてしまいたい一枚。 1981年作1
元々流動的だったバンドのメンバーの出入りや、力関係が入り乱れ過ぎたり、まぁ、ドラッグや裁判沙汰もあったのでしょうね。 前年には、「もう一つのFunkadelic」が現れたり2、レーベルとの関係も悪くなっていきました。
このアルバムも、当初2枚組として出すはずが、レーベルから却下され、アルバムジャケットも勝手にデザインを変えられ塗りつぶされてしまう3、と、これで George Clinton は Warner Bros. と袂を分かつことになるのです。
音楽的にも、 George Clinton が直接プロデュースしておらず、複数のメンバーがめいめい仕切ったセッションの音源を、ミックスダウン時にまとめた、と言う趣で、盛大にとっ散らかっているのです。
産業ロック/AORの P-Funk 流儀解釈とも言える、#1.‘The Electric Spanking of War Babies’ と言う意表を突いた始まりなのですが、従来のディスコ/ファンク路線 #2.‘Electro-Cuties’ 、 #7.‘Oh, I’ はカッコいいですし、ねっとりまとわりつくような粘着質ミディアム・ファンク #8.‘Icka Prick’ なんかは、流石の P-Funk の底力と言う感じです。
Roger Troutman(Zapp)がアレンジやギターで奮闘する #3.‘Funk Gets Stronger, Part 1’ や、 Sly & the Family Stone との邂逅とも言える #5.‘Funk Gets Stronger (Killer Millimeter Longer Version)’ など、「ファンクの今までとこれから」を占うようなセッションも、悪くはなかったのですが…。
結局、これを最後に Funkadelic も Parliament も長らくアルバムを出すことはなくなります。4
1981年というのは、そろそろデジタルな音作りが訪れていた時代であったわけで、P-Funk 流儀の、ねっとりした諧謔と毒々しさがハンデになっていく時代だったのでしょう。 そういう時代のドキュメントであることを念頭におけば、それなりに楽しめるのではないでしょうか。