彼(ジミヘン)の死後、実質的なオリジナル・アルバムでもある1997年作1
1990年代に、ジミヘンの遺族が投資銀行からお金を借り、長い法廷闘争の末、各所に散らばった音源を一元管理できるようになり、その第1弾として、このアルバムが作られました。 The Jimi Hendrix Experience や Band of Gypsys の在命なメンバーは、多額の補償金と共に、その権利を手放すことになったと言う少々悲しい現実もありますが、この後、未発表曲集やライヴ盤が多数出て、リスナーとしてはありがたい限りなのです。
Band of Gypsys は短命に終わってしまったのですが、でもジミヘンは、精力的に曲を作り録音に録音を重ねていくます。 ある程度完成された楽曲も死後、四散してしまって、音の良くない編集盤としてで聴けなかったのですが、盟友 Eddie Kramer が丁寧に編集、デジタルミックスを施すことで、ジミヘンが残した曲順メモを基に、1枚の完成されたアルバムとして世に出たのです。
聴けば分かりますが、とにかく曲の長さが4分前後、ベースの Billy Cox / ドラムの Mitch Mitchell のタイトで引き締まったリズムに、ジミヘンのギターの鳴り、リフ/バッキングの切れが最高です。 そして1曲が短いが故に、彼の、キャッチーなメロディを書けるソングライターとしての資質も浮き彫りになります。 #2.‘Izabella’ とか、3分にも満たない曲ですが、この切れ味たるや!と今でも驚かされます。
歌詞や曲名に、宇宙や神秘を扱ったものが多いのも特徴で2、それはドラッグのせいだったかもしれませんが、これこそ彼が夢に見た「人種/肌の色を超えて、自由を目指して未来へ飛び立つ」3を表したかったのかもしれません。