「ファンクとか好きな人なんですか?」
「まぁ、好きっていうか、大好きですわ」
「ZappとかRogerとか…?」
「え?嫌いな人とかいるんです?」
Roger Troutmanの、基本的な音楽的素養には、まずドゥ・ワップがあったと思うのです。 彼の曲には、ドゥ・ワップ・イデオムが大抵入っていますし。 シンセサイザーをトーク・ボックスに通すことで作られた機械声を使い、ドゥ・ワップの基本的な和声構成、バリトン/ハイ・テナー/ファルセットを一人で操れることを発見した彼は、それをファンクに転用し、1stシングルの ‘More Bounce To the Ounce’1 で、いきなり完成形に辿り着くのです。
ただ、ドゥ・ワップを愛する彼は、そのもう一つの重要な要素、ロマンティックなバラードには、トーク・ボックスを使うことはしませんでした。 (今から思うと)かなり慎重に試行錯誤していたんでしょうね。
そして、その渾身の一投こそ、この ‘Computer Love’ だったと思うのです。
ブレイクを効果的に使い、Shirley Murdockの歌い上げ歌唱が、Roger Troutmanのトーク・ボックス、他のコーラス隊のハーモニーが縫うように、押しては引くようなグルーヴが8分以上続く、12inch mixが最高なのです。 リードをCharlie Wilson (The Gap Band)が歌うアルバム・ヴァージョンも良いのですけどね。2
CD時代は、なかなか入手も困難な音源だったのですが、今ではフツーにYouTubeで聴ける、いや、良い時代になりました。3
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2015/09/13 に書いた文章に加筆訂正しました。 ↩︎