音楽千夜一夜物語 第二十夜 "Evil"(1973) / Earth, Wind & Fire

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Earth, Wind & Fire - Evil

(中村正人)俺、アースのモーリス・ホワイトを大尊敬してて、自分の曲に参加してもらったときにモーリスに告白したのね。「私はあなたの作った音楽をさんざんパクって日本で今売れちゃってます」って。そしたらモーリスが「それでいいんだ」って。

「私もジョン・コルトレーンやFunkadelicやKool & the Gangからいろいろ盗んでる。そこにオリジナリティを足して次の世代に受け渡すのがお前たちの仕事だ」って。

中村正人×大森靖子「私とドリカム2」対談 (3/4) - 音楽ナタリー 特集・インタビュー

…いい話ですね。

多分にですが、モーリス・ホワイト位、引用やなぞり書きを自覚的にやっていた人も、当時では珍しかったはずです。
当時の黒人といえば、ジャズかブルースかゴスペルをベースに、なんとかファンクを確立させようと、色々なグループが試行錯誤していた時期な訳ですが、彼は、そこにボサノバやラテン、アフリカンの要素を大胆に持ち込んだのが、圧倒的にユニークなところです。

「パワフルな音楽で聴く人を圧倒させたい」「それと同時に多様性とインテリジェンスがなくてはいけない」と考えていたのでしょうね。


‘Evil’は'73年の曲ですが、前年に出た、Donny Hathaway - ‘The Ghetto’Steely Dan - ‘Do It Again’ に酷似しています。 まぁ、なぞり書きですよね…。 こう言う「ラテン・ブーガルー」というリズムスタイルが新しかった時代でもあったのです。

Donny HathawayのLiveでドラム叩いているのは、モーリス・ホワイトの弟のフレッド・ホワイトだったので、絶対意識はしてたでしょう。 とは言え、Steely Danのサイケ時代の名残がある、ラーガ・ロックなエレキ・シタールのソロを、カリンバ(親指ピアノ)に置き換えるとか、流石のアレンジです。1


  1. 2016/02/09 に書いた文章に加筆訂正しました。 ↩︎