音楽千夜一夜物語 第二十九夜 "1960 What?"(2011) / Gregory Porter

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Gregory Porter - 1960 What?

押し殺したようなオスティナート・ベースが静寂を切り裂き、シンバルの刻みは、群衆の足音を表わし、ホーン・セクションが奏でるメインテーマは、群衆の唸りにも似た重苦しさで響き、時々入るシンバルとスネアドラムのフィルインは、怒号のようでもあるし、機銃掃射の音のようでもある。

“1960年代、何があった? / 1960年代、誰がいた?“を、ずっと問う歌1、それを2011年に出す意味が、当時は分からんかったのです。 でも、今になってようやく、その真意が届いた、もう手遅れだけど、と言うことです。
彼はミュージシャンとしての、鋭利な感性で、いま2016年になって取り返しがつかない世の中になってしまうことを、この時点で世に告発していたのです。2


平易な言葉で書かれているから歌詞を読んで欲しいかもです。3

民衆の声だった男がいた  
ロレイン・モーテルのバルコニーに立った時  
銃声が鳴り響き  
銃だったのさ  
彼は崩れ落ちた  
これが正しいことなのか  
民衆はそう叫んだ
若い男だった  
小物店から出てきた時  
小さな3つの菓子を持っていたのさ  
お巡りさん、それを銃だと思ったんだろ?  
たった一人だったんだぜ  
撃たれて崩れ落ちた  
これが正しいことなのか  
母親はそう叫んだ
陽の光も要らない  
月明かりも要らない  
街灯も要らない  
だって街は燃えているんだ  
皆、戦おうぜって言ってる  
これが正しいことなのか

  1. March on Washington for Jobs and Freedom - Wikipedia ↩︎

  2. Black Lives Matter - Wikipedia ↩︎

  3. 2016/07/12 に書いた文章に加筆訂正しました。 ↩︎