音楽千夜一夜物語 第三十九夜 "Black Or White"(1991) / Michael Jackson

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Michael Jackson - Black Or White (Official Video - Shortened Version)

またもや、酒が安いバーで酒を呑んでいた時の会話。

「音楽詳しいんですよね?」
「まぁー、フツーの人よりは好きですからねぇー」
「好きなミュージシャンって誰です?」
「マイケル・ジャクソンとかジェームス・ブラウン、スティーヴィー・ワンダー、ジョージ・クリントンですかねぇー」
「…。」
「…。」

当たり前に優秀なミュージシャンが残してくれた音楽を、正直に聴けない空気があるのかなー、って雰囲気を感じたので、こんな記事を書いていますよ。


このアルバム “Dangerous” が出た1991年は、Nirvana “Nevermind” と NWA “Niggaz4Life” 、ATCQ “The Low End Theory” 、Lenny Kravitz “Mama Said” が出た年、と言えば分かるでしょうか。
高度な知性を持って社会の問題を世に問う、一方で、それと同じテンションで、社会への不満を露悪的にぶつけるだけ、の音楽が、共存してたのです。 この米国の構造のねじれが表面化するのは、翌年'92年のロス暴動のことなんです。

と言う背景をちゃんと文章に書かないと、共有されない、あんな大変なことがあったのに!!という何十年を経て思いましたね(?!)


マイケル・ジャクソンは、基本的に「愛と平和」の人なんですけど、見た目のため、なかなか理解されない、本人もそれで悩んでいた、と言った事実を知ったのは、彼が死んでずっと経ってから。
彼の、「人種と国境を超えて、もっと大きい平和を目指す」と言う文言は、当時全く空虚な主張だった訳ですけど、いまこうなってしまった世の中にあっては、それが如何に普遍的で大切な考えであったかを、我々は知るのです。

音楽がなせる文化、って儚く脆いんですね、と今更思いますよ。1


  1. 2017/03/20 に書いた文章に加筆訂正しました。 ↩︎