マイルス・スクール卒業生とソウル/ファンク その21
Mtume(エムトゥーメイ)の話は、前回もちょっと書いたんですが、1975年の、 Miles Davis の引退とバンド解散を契機に、バンドメンバーだったJames MtumeとReggie Lucasが、バンドMtumeを組みました。
二人が作る出すサウンドは、まさにNYの週末のキラキラした豪華な雰囲気、でも引き締まったダンサブルなグルーヴ、唯一無比、独自の音楽でした。2
紆余曲折あって、盟友 Reggie Lucas はバンドを脱退するのですが。 その後放った、渾身の一撃が、この “Juicy Fruit” なのです。
ゆるく繰り返されるリズムマシンのパターン、でもボトムはしっかりしていて、ふわふわしたシンセが、ビートの間を縫う、歌だけが楽曲の根幹を支える。 …と言う、謎な音楽構造。 でも、ヒットし、売れて、この後、模倣のヒット曲を数多く生み出しました。
“ブラック・コンテンポラリー”、(所謂)「ブラコン」のハシリとも言えますし、その後、このビートをサンプリングして、Hip-Hop/R&Bでリサイクルされるのは、このビートの中毒性の証明とも言えます。3
James Mtume は、ドラム/リズムの探求者であり歌も歌えてピアノも弾ける、と言う人なので、こういう音像/アレンジに行き着いたんだろうなぁ、と今になっては分かるのですが。
とは言え、この楽曲は最終的に、リードシンガー、Tawatha Ageeの「歌唱スキル100%、パッション200%、情念500%」な歌声の賜物なんでしょうね。4
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The Notorious B.I.G. - “Juicy” とか、もしや原曲よりも有名だったりするかもしれません。 ↩︎
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2018/06/05 に書いた文章に加筆訂正しました。 ↩︎