日本の電子楽器メーカー、ローランドの創業者である梯郁太郎氏が4月1日に87歳で亡くなった。
梯郁太郎の見た808夜の夢 その1
梯郁太郎ほど、世界の音楽の革新に貢献した人も、そういないでしょう。 世界のポピュラー・ミュージックに貢献した、日本人ミュージシャンは少ないのですが、こと楽器の開発/製造ということから、イノベーションを支えたのは間違いないのです。
という事で、RolandのリズムマシンTR-808のサウンドを世界中に知らしめた、1982年作。
でも、今、改めて聴くと、本当にオモシロですわ。
ファンクやソウルで、重要な1拍目のキックの踏み込み、2/4拍目のバックビートを強調もしない。 そもそもビートを強調してないし、ノリを出そうとしていない。 リズムマシンの機械的なノリを強調させずに、パーカッションを使って、流れるようなメロディのような流れを作る。
勿論、彼が当時傾倒していたレゲエや、流行り始めていたアフリカ・ポップも視野に入っていただろうし、元々のルーツである、ドゥワップのフィンガースナップのリズムを模したものだったかもしれません。
…と言うか、この1曲だけで、ポピュラー・ミュージックのリズム構造を根底から変えてしまった、これを成し遂げる時に、梯郁太郎の作った楽器が必要だった、これは大きいことです。1
-
2020/08/25 に書いた文章に加筆訂正しました。 ↩︎