音楽千夜一夜物語 第百十七夜 "I'll Take Her feat. Brian McKnight"(1994) / Ill Al Skratch

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Ill Al Skratch - I’ll Take Her feat. Brian McKnight

有名なようであまり知られてなくて、少々もったいない'94年作。

‘94年のHip-Hopは、(所謂)G-Funkが全盛、R&BはHip-Hop Soulが主流になっていた頃で、全体的に「メロウ」な音が求められていたのです。 Aaliyah 他がカバー/ネタ使いして The Isley Brothers が再評価され始めたのもこの頃だし。

G-Funk風なアナログシンセの“飛ばし”が印象的だった ‘Where My Homiez? (Come Around My Way)’ のシングルヒットを受けて作られたこのアルバムは、「Hip-Hopであることを踏まえた上でのメロウネスと歌心」が全篇に溢れていて、今聴き直しても、全然古臭さを感じさせないと思うのだけれど。

‘I’ll Take Her’ は、Mary J. Bligeとほぼ同時期に Curtis Mayfield - ‘You’re So Good To Me’ をネタに使って、Brian McKnightのファルセットが漂うメロウ・ダンサー。 メロウネタ定番 Tyrone Davis - ‘In The Mood’ の上に Tawatha Agee(Mtume) が熱いフェイクをぶつける ‘Get Dough’など、全体的に歌心いっぱいでスムーズなR&Bテイスト。けど、ラッパー二人のラップは、ゴツゴツしていて、熱くて、良い意味で「B級」。 …まぁ、B-Boyの"B"には「B級」の意味もありますしね。

「Hip-Hopを知る上で絶対外せない名盤」って訳じゃないけど、機会があれば是非。 中古屋では3桁で買えると思いますので。1


  1. 2001/06/30 と 2007/04/09 に書いた文章に加筆訂正しました。 ↩︎