印象的なヒット曲や、‘90s中期以降のHip-Hop/R&Bアーティスト作品への活発な客演活動のせいか、 Zapp/Roger = Talkbox と言うイメージが強いのですが、最高傑作と呼び名も高い'82年の2nd1では、Talkboxの入った曲が2曲しか無かったりします。
このアルバムを通して聴くと、ヴォーカルパートは Zapp/Roger のどのアルバムより充実しており、器楽演奏もタイトでダイナミズムに溢れていて(何気にホーンセクション大活躍だったり)、演奏と歌唱の冴えがポップな楽曲に一層の彩りを加え、アルバム全体を華やかにしているのです。
ヴォーカルと演奏が安定したことにより、Roger Troutmanが元々持っていたエンターテイナー気質/芸人魂が大炸裂。 Talkbox+打ち込みドラム、と言う所謂“Zapp/Rogerスタイル”の演奏は、 #1.‘Dance Floor’ だけ。 #3.‘Doo Wa Ditty (Blow That Thing)’ では、打ち込みドラム+シンセベースを演奏の中心に置きながらも、ブルージーなハーモニカ演奏+ドゥワップ調のヴォーカルでファンキーさを強調。
アナログ盤で言うところのB面、 #4.‘Do You Really Want an Answer?’ では'60sのTemps風なメロに、Temps風ヴォーカルワークを絡めて、Motownへのオマージュ的な作品に。 #5.‘Come On’ は、ダイナミックなホーンセクションに、 Bobby Glover の熱唱+バックボーカルの煽りも含めて、 Zapp/Roger 史上一番熱い曲に。 #6.‘A Touch of Jazz (Playin’ Kinda Ruff, Pt. 2)’ は、タイトル通り、 Wes Montgomery / George Benson 的なジャズ・ギターにスキャットを絡めたクールな仕上がり。
つまり、ブルーズ~ドゥワップ~ジャズ~ソウル~ファンク~当時最先端の打ち込みサウンド2が楽しめるのは、これだけだった、しかも21世紀になって冷静な耳で聴き返しても、その楽しさは失われてないし、そんなアルバムが他にあるでしょうか、と問いたいくらいです。
このアルバムの主役 Roger Troutman は21世紀を迎えることなくこの世を去ったけれども、彼の残したアルバムの楽しさは、作られてから20年以上経た今でもその輝きを失ってはいない、これ以上素晴らしいことは無い!そう言い切りたい程、完成度の高いアルバムなのです。3 4