タイトルは、“Uncle Sam”3のもじり。 アメリカ軍国主義の象徴を、茶化しながらも、ベトナム戦争の記憶が薄れてきた頃に、アフガニスタン紛争が起きた、という当時の世相を表したものだったのでしょう。
音楽的に言うと、この頃の P-Funk は、どのバンドも、シンプルなリズムの上に、キーボード/シンセサイザーを中心にした音作りに、ヴォーカルを活かした作りになっていて、 “Funk”+“Psychedelic” から出発した Funkadelic もまた例外でなく、そこら辺で好みが分かれそうです。
とは言え、 #2.’(Not Just) Knee Deep’ の突破力は、彼らの底力。 Bootsy Collins がドラムを担当しているので、無駄なフィルインもなく、ひたすらシンプルな8ビートを叩き、ズブズブと鳴るシンセベース、その上で華やかなヴォーカル隊が、聖歌隊の様式や、機械声も駆使し、ユニゾンに掛け合いに、と縦横無尽に重なり合い、15分にも渡って続くファンク・グルーヴ。 アンチ・ディスコだった P-Funk / Geoege Clinton が、ディスコを飲み込みつつ辿り着いた、P-Funkアンセムとも呼べる1曲でしょう。
哀愁漂う女性ヴォーカルのハーモニーを縫うように、 George Clinton と Garry Shider が脱力ヴォーカルでメインを分け合う、ミディアムテンポのファンク #1.‘Freak of the Week’ 、 当時加入直後だった元 The Spinners の Philippé Wynne が勇ましく煽る #3.‘Uncle Jam’ などはファンクとして、かなり良いのですよね。
三連シャッフルの上で、乾いたブルーズ・ロック/サザン・ロックを展開するギター・インスト #4.‘Field Maneuvers’ 、 Geoege Clinton がピアノだけの伴奏でマジメに朗々と歌い上げるバラード #5.‘Holly Wants to Go to California’ 、「ジョニーが凱旋するとき」4 5をモチーフにした #6.‘Foot Soldiers (Star Spangled Funky)’ 辺りは、シャレなのかマジなのか微妙なところですが、それでもカッコいいのではないか…?と一瞬でも思わされてしまうのが、 P-Funk / Geoege Clinton の持ち味であり魔法なのですね。
後々振り返ると、勇ましい曲調の裏で、もう崩壊の足音は聞こえているのに、ギリギリのバランスで踏み止まって、統一感が残っていたとも言える、この作品。 ファンクの歴史の中では重要作なのですが、今、改めて聴くと、切ない感情が残る、そんな一枚とも言えるでしょう。
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我々には同じモチーフを礎にした「プロジェクトAのテーマ」の方が馴染み深いでしょうか? ↩︎