"Maggot Brain"(1971) / Funkadelic

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George Clinton率いる輝ける迷走ファンク軍団、P-Funkの片翼、Funkadelicがようやく音楽的に目を醒まし、その壮大に蛇行する歴史の一歩を踏み出したと言える、‘71年作、3rdアルバム。1

…なのですが、1st2/2nd3、そしてこのアルバムのR&Bチャート順位が8→11→14位と下がる一方だったんですね…。

Funkadelicの音楽は、その名の通り、“Funk + Psychedelic”。 即ち、轟音ギター/オルガン/(微妙にズレて揺らぎまくる)ユニゾン・ヴォーカルが混沌を呼び込み、へヴィでゴリゴリ突進するベースとドラムが覚醒を促す、という二律背反のせめぎ合いなのです。

深いエコーの奥底からスピーカーを破らんばかりにギターが咆哮する、超スロー・ブルーズ #1.‘Maggot Brain’ 、Led Zeppelinも真っ青の勢い一発のハードブギー #5.‘Super Stupid’ 、この時点でダブ/テープ・コラージュを使って「戦時下の抑圧された黒人なりのロック」を構築して見せた #7.‘Wars of Armageddon’ こそが、そのプロトタイプ、と言えるでしょう。

この音の中心がリードギターのEddie Hazelなのです。 Jimi Hendrixを媒介に、ゴスペル+戦前ブルースのリズム感を身体に宿し、どんなロングトーンで咽び鳴くギターを搾り出していても、ビブラート、チョーキングの隅々にうねるグルーヴがドクドクと脈打っている、と言うか。

まぁ、それ以外の曲の中途半端さ加減は試行錯誤の片鱗、と許して下さい。 この時点でのメンバーの力量は、まだ全然基準点に達していなく、手探りの状態だった訳ですし…。 ただ、(今で言う)「アシッド・フォーク」な香りも漂うアコギ+ドゥワップな #2.‘Can You Get to That’ や、Sly & the Family StoneやBeatlesの影響もある(?)素っ頓狂な #6.‘Back in Our Minds’ なんかは、ソウル/ファンクだけでない軍団の片鱗を覗き見るようで、(少々屈折した見方とは言え)面白いですし。

P-Funk総帥George Clintonの、嫌味と諧謔の片鱗が芽生えた3rdアルバム。 いまだにライヴで演奏される、#1のためだけに買っても納得の一枚だと言えるでしょう。4